台湾の古き良き庶民生活を知る『大稻埕荒物展』【台湾通信Vol. 3】

台湾的『ALWAYS 三丁目の夕日』な古き良き風景を台湾人ライターチョウさんが紹介してくれます。なんだか写真を見ていると日本人の私まで懐かしさで胸が一杯になるから不思議ですね。


大稻埕(ダーダオチェン)エリア』はかつて台北で最も賑やかな貨物集散地でした。しかし月日が経つに従い、台北の商業の中心地もどんどん変わっていき、数年前まで大稻埕エリアは、乾物や漢方、布問屋という店舗しかありませんでした。首都台北の中で、大稻埕エリアは古めかしい雰囲気がある、とても庶民的な街だと認識されていました。

しかし近年、街おこしのため、若者が経営する手作り雑貨店やカフェ、セレクトショップなどがこの街で次々とオープンしました。そのおかげで今、大稻埕エリアは、活気を取り戻し、大勢の人に注目されるようになり、日本からの観光客からも注目を集めるエリアとなっています。そんな台湾の古き良き伝統と、若者の斬新なアイディアがミックスされた個性ある街『大稻埕エリア』で、先日開催された展覧会『大稻埕荒物展』を紹介します。

 

荒物っていったい何?

今回『大稻埕荒物展』が行われた場所は、2016年にオープンした、厳選された台湾と日本の職人さんが作った日用品を販売する、セレクトショップ兼アートギャラリー『地衣荒物』です。

荒物という単語は実は日本語。日常生活に使う雑多な品物という意味です。まだ便利ではない時代の台湾では、簡単な素材で単純な作りの家庭用品が日常生活の中に溢れていました。しかし今では、ほとんど見ることがなくなってしまいました。

主催者によると台湾の人々に昔の生活を思い出させ、荒物の美しさを再認識してもらいたいとの思いから、『大稻埕荒物展』を開催することを決めたそうです。

大稻埕に住む職人さんに来てもらい、鉄板に鋳物文字を作ってもらったそう。

 

台湾の昔のキッチンはどんなの?

『地衣荒物』のアートギャラリー空間が4つのスペースに分かれ、それぞれのテーマがありました。まず、『房間(pâng-king)と灶跤(tsàu-kha)』へ。

『房間と灶跤』とは、台湾語で「部屋とキッチン」という意味です。今でも家の中でもキッチンは、私たちが一番行ったり来たりする空間ですよね。このスペースに入ると、料理の道具が触れ合い、調理してる音が聞こえてくるようです。

平成生まれの私にとって、見たことがないBBQ道具。重そうなので、全然ピクニックとか持っていけないですね。

そして台湾庶民を代表するビールコップや茶碗を見ると、小さい頃家族のみんなで食事してる光景がパッと頭に浮かんできました。台湾人はみんなで食事することを、とっても重視しています。お母さんの料理が出来上がる前に、子供たちは食器をひとりずつならべていきます。そして食事が始まると食卓でみんなとお喋りを楽しみむのが台湾の定番

台湾の昔の部屋には何があったか想像できますか。まずは日本と同じ、デスクが定番。あとは子供たちが大嫌いな宿題本や様々な文房具、日本の昭和時代のような雰囲気がすると私は思いました。日本のみなさんはどう感じますか?

昔の女性はよく子供の面倒を見ながら、裁縫などの仕事していたので、どの家庭にも裁縫用のハサミがあったそうです。

昔の女性はよく子供の面倒を見ながら、裁縫などの仕事していたので、どの家庭にも裁縫用のハサミがあったそうです。

木箱の真ん中にあるのは、台湾人なら知っている「明星花露水(ミンシン ホアルーシュイ)」。おばあちゃん時代に香水や芳香剤として使われていたそう。ラベルもかわいらしくて台湾っぽいので、今では日本の観光客に大人気のお土産だそうです。

 

次の展示テーマは「市仔(tshī-á)」と「街仔(ke-á)」

まず、壁に籐製のかごがいっぱい飾られてあるところは、市場という意味がある『市仔』展示スペース。形は似ていますが、使い方はそれぞれ違います。例えば、カエルを掴むかごやリュウガンを置くかご、鴨の卵を入れるかごなど、中に入れるものによりデザインも変わります。

簡単な素材でも、編み方がとても繊細。哲学者である柳宗悦が提唱した「簡素で力強い美しさ」という言葉を思い出しました。

そして道端という意味の『街仔』スペースでは、大きな三輪車に特に目を引かれました。この自転車は昔、日用品の販売車として使われてたそう。まるで動く雑貨店ですね。

昔はこのような三輪車にいろんなものを載せて販売していたそうです。

最後に紹介する漢方薬の道具は、日本人にとって馴染みがないかもしれませんが、台湾人にとっては懐かしいもの。西洋薬がまだ台湾になかった頃、台湾人はいつも漢方薬を頼っていました。現在、家庭では見かけることはなくなりましたが、昔は自分で漢方薬を作るのは普通なことだったそうです。

おじいちゃんの時代は、こういう道具で薬草をすりつぶし、飲みやすくするために丸薬を作ったそう。実は私も見たことがありませんでした。多分現在では、漢方薬局にしかない珍しい道具だと思います。

 

展示を見て感じたこと

台湾の荒物を見て、日本の皆さんは何を感じましたか。台湾と日本は昔から繋がりが深いので、日常生活で似ている道具がいっぱいあると思います。

この展示会で、私も一度も見たことがないほど古い道具をたくさん見ることができました。また日用品だとしても、職人さんの手仕事で作られている道具は、やはり美しい…。そして、改めて台湾のものづくりの歴史や、私たちの文化について考え直すきっかけになりました。

『地衣荒物』では普段からいろんな生活道具が販売されていますよ!今度台北に来たら、古くて新しい大稻埕エリアをゆっくり歩き、『地衣荒物』にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

地衣荒物

住所:台北市大同區民樂街34號1樓
電話番号:(02)2550-2270
営業時間:10:30~19:30
定休日:火曜日
Webサイト:https://earthingway.waca.ec/

テキスト・写真: チョウ(趙卉加 Chao HuiChia)
編集:岸本洋子

 

台湾人ライターチョウってこんな人

台北在住の台湾人。日本カルチャー専門誌『秋刀魚』の元エディター・ライターを経て、現在はフリーでライター・翻訳者として活動中。これまでずっと日本のあちこちを取材してきたが、今回日本のことではなく、改めて地元台湾の良さやカルチャーを発信したいと思っている。よく芸人っぽいと言われるが、中身は結構老けている。純喫茶とあがた森魚など昭和時代のフォークソングが大好き。
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