楽しい街歩き型の音楽祭『潮州街音樂節』に台湾人ライターが密着!【台湾通信Vol. 2】

2015年から開催され、今年で3回目となる『潮州街音樂節』

『潮州街(チョウシュウジェ)音樂節』とは台湾や日本でも珍しい「町歩き型の音楽祭」です。当日は台湾と日本のインディーズで活躍するアーティストたちが台北の街に集まりました。今回の『潮州街音樂節』のテーマは、「Chill(チル)」。そして台湾の若手イラストレーターの飛飛飛(フェイフェイフェイ)がアートワークを担当しました。

台湾の音楽フェスに密着取材

日台のインディーズ音楽が大好きな台湾人ライターチョウが密着取材をしてきました!

 

まず潮州街エリアについて

音楽祭の舞台は多くの観光客が訪れる永康街(ヨンカンジェ)から近い、落ち着いた雰囲気が漂う『潮州街エリア』。昔は多くの日本人が住んでいたそうで、今までも日本統治時代の家屋が残っています。そんな日本と台湾の文化や歴史があり、絆が深い潮州街は、まるで日台ハーフのような街と言えるでしょう。

 

潮州街を始めたきっかけを主催者の寺尾さんに聞いてみた

台湾ではまだめずらしい街歩き音楽フェス『潮州街音樂節』を始めたきっかけについて、インディーズ音楽の発信地ライブハウス『台北月見ル君想フ』のオーナーさんである主催者の寺尾さんに伺ってみました。(実はこのイベント、日本人が主催者だったんです。)

寺尾:潮州街で『台北月見ル君想フ』をオープンして、周りに結構いい雰囲気のカフェとかお店がいっぱいあるから、一緒にイベントができたらいいなあって思っていました。

最初はお店の人とも知り合いではなかったんです。でも、『潮州街音樂節をやりたいので、お店に使わせてくれませんか?』と聞いてみると、みんな優しくてイベントを手伝ってくれました。

会場の一つの『貓圖咖啡 CAT. jpg cafe』。ここでは床に座って、まったり音楽鑑賞ができるし、アーティストとの距離が近い気がしました。

寺尾:日本人にとって、台湾の雰囲気ってちょっと落ち着いた感じですね。特に潮州街はにぎやかでもないし、リラックスできる街。ゆっくり楽しんでほしいという思うから、Chillっていうテーマにしました。お客さんにChillを感じてもらえばいいな。

毎年の『潮州街音樂節』には台湾のアーティストだけではなく、日本のバンドも多く参加します。その理由も寺尾さんに聞いてみることに。

寺尾:日本の小さい街でもカフェとかバーとか結構多いんですね。決して1000人とか1万人集客できるような大きなハコでやる人じゃないけど、そういう小さい街で、小さいお店でライブをやって、盛り上がって…すごい良いカルチャーがあると思うんです。だからそういうところでやってる日本のアーティストを呼んで、台湾に紹介したいです。また、日本と台湾のバンドはもっと交流して欲しいですね。それが目標!

確かに、『潮州街音樂節』に参加しているアーティストたちは、落ち着いた聴き心地がいいライブが特徴的で、この街にぴったり合うと思います。

 

実際に『潮州街音樂節』を巡って来ました!

▲ 路地裏の入口にかわいいイラストが描かれています

当日は、『台北月見ル君想フ』を中心に、周辺のカフェやスタジオが1日限定でライブを行う会場になりました。タイムテーブルのパンフレットをじっと読みながら、次に誰のライブを見るのか、どこのお店に行くのか、と色々考えることも楽しみの一つです。

入場パスはリストバンド形式で、ライブ会場に指定されているお店のスタッフさんに見せると、いつでもライブを観ることができます。またコラボするお店で店員さんにリストバンドを見せると、お得なサービスももらえます。道端で同じのリストバンドをつけている人を見かけたら、「あ、この人も仲間だな」という親近感が湧いてきました。

▲ リストバンドも飛飛飛(フェイフェイフェイ)のデザイン。鮮やかな色を使ったイラストがすごくかわいい〜

 

リズムで体が揺れる『HAPPLE

まず私が観に行ったのは東京で活動する5人組の『HAPPLE』。観客をハッピーさせる音楽で、太陽のような明るいバンド。『HAPPLE』のライブを聴くと、自然にリズムに乗って体が揺れます。メンバーの皆さんが最後の一曲でタオルを振るシーンでは、私の気持ちも一緒に盛り上がりました。とてもハッピーなライブでした。

 

本格的な演奏にうっとり『mama!milk

そしてアコーディオンとコントラバスを奏でるインストゥルメンタル・デュオの『mama!milk』の演奏会場へ…。彼らの音楽は「旅へいざなう音楽」と評されます。こんなに小さいなカフェで本格な楽器に演奏をするのかと感心しました。観客はカジュアルな服装でもOK。この雰囲気こそが『潮州街音樂節』のChilかなって思います

 

ドキドキの即興演奏『中村佳穂

続いて観に行ったのはピアノの弾き語りをするシンガーソングライター『中村佳穂』。2016年のフジロックに出演したとき、45分で100枚のCDが完売したそうです。彼女の一番の魅力は即興演奏で、歌詞も自由に変わっていきます。『潮州街音樂節』当日も大盛況でした!

 

音に浸かる唄い人『原田茶飯事

去年の『潮州街音樂節』にも参加した『原田茶飯事』はギターを弾きながら歌うシンガーソングライターです。今は全国の演奏旅行を生業としています。原田茶飯事さんはトークのとき、中国語や英語を一生懸命しゃべっていて、彼の気持ちが私たちに伝わってきました。しかし、演奏が始まると、人が変わったように、どっぷりと音に浸かって体を揺らして歌います。そんな真面目で音楽大好きな姿に感動しました。

 

台湾原住民の美しい歌声『以莉・高露(イーリーカオルー)

台湾原住民アミ族シンガーソングライター『以莉・高露(イーリーカオルー)』。優しくて透明感のある歌声でアミ語の歌を歌います。彼女の歌声を聴くと、なぜか心も落ち着いて、柔らかくなります。

 

台湾サブカル界のヒーロー『脆弱少女組(FragileGirls)

2015年に結成した台湾の2人組バンド『脆弱少女組(FragileGirls)』のライブにはサブカル系若者のファンがたくさん来場しました。『脆弱少女組』は元々台湾で有名なインディーズバンド「那我懂你意思了」のメンバー。バンドが解散してから、シンガーとキーボードの2人はエレクトロバンド『脆弱少女組』を結成しました。80年代風の楽曲とネガティブな歌詞が特徴。ひとりぼっちの夜に彼らの音楽を聴くと、なぜか心が癒されます。普段私もフォローしてるバンドなので、初めてこんなに近い距離でライブを聞け、嬉しかったです。

 

日本の街歩き音楽祭が台北に出現!

実は今年、神戸の塩屋駅で行われている『塩屋歩き回り音楽祭』が、初めて『潮州街音樂節』とコラボしました。演奏する場所はもちろん、潮州街。台湾の奏者を塩屋楽団に加え、グループで演奏をしながら、町を歩いたり、急にお店に入ったりしました。楽しく演奏をしているミュージシャンの姿を見て、地元のおばあちゃんやおじいちゃんたちも拍手しながら、楽しく笑っていましたよ。言葉は通じませんが、周りの人を楽しませる音楽は世界共通の言語であり魔法と言えるかもしれませんね。

私は『潮州街音樂節』に参加するのは初めてでした。なので人が少ない潮州街の通りに少しびっくり。だって音樂イベントと聞くと、人がいっぱいで、みんな手を上げて「イェーイェーイェー」って叫ぶイメージだったから。でも、潮州街の路上で人がいなかった理由は、それぞれのお店に足を運び、ライブを聴いてるからなんです。

ひとつの店のライブが終わってから、みんなと一緒に次のお店へ足を運ぶのはとっても新鮮な経験でした。主催者の寺尾さんの言う通り、小さい場所で小さいイベントをやっているからこそ、小さい楽しみがいっぱいあります。それも『潮州街音樂節』の魅力なのでしょうね。来年も開催されるそうなので、第4回の『潮州街音樂節』はどんな形になるのか今から楽しみにしています!

テキスト・写真: チョウ(趙卉加 Chao HuiChia)
編集:岸本洋子

 

 台湾人ライターチョウってこんな人

台北在住の台湾人。日本カルチャー専門誌『秋刀魚』の元エディター・ライターを経て、現在はフリーでライター・翻訳者として活動中。これまでずっと日本のあちこちを取材してきたが、今回日本のことではなく、改めて地元台湾の良さやカルチャーを発信したいと思っている。よく芸人っぽいと言われるが、中身は結構老けている。純喫茶とあがた森魚など昭和時代のフォークソングが大好き。