みんなが噂をする台湾茶ブランド、その美味しさの秘密とは|琅茶 Wolf Tea(ウルフティー)

ふぅ、

と一息をついて、お茶を飲む。

あなたが最後にお茶を飲んだのはいつですか?

 

今日、コンビニでペットボトルのお茶を飲んだよ。こんな声が聞こえてくるかもしれません。ただ、「これからも気軽にコンビニでお茶を買いたい」こんな人はこの先のお話を、読まないほうがいいのかもしれません。きっと、毎回自分でお茶を淹れたくなる。そして必ずペットボトルのお茶で満足できなくなるから…。


 

台湾を日常にというスローガンのもと『台感』というお店を始めた私たち。店内の喫茶スペースで提供するお茶は『琅茶 Wolf Tea』というお店から取り寄せています。かわいい狼のロゴが目印。オシャレな包装で、もともと台湾でも日本人に人気のお土産でした。

でも、たくさんある台湾茶のブランドの中から、なぜ私たちは『琅茶 Wolf Tea』を選んだのか。創業者であるアーウェンとディビッドのインタビューをもとに、もう一度考えてみることにしました。『今月の台感』スタートです。

試飲スペースは2階に。階段の下にはすぐに売り場が

インタビューをしたのは台北市・富錦街にある小さな店舗。茶葉売り場から階段を上がると、小さな秘密基地のような空間が。大人4人が座れるほど小さなスペースで、お茶を飲みながらゆっくりと話をしました。

畳と素朴なデコレーションのみのシンプルな空間

左:ディヴィッド、右:アーウェン

 

台北人は皆、なんてひどい味のお茶を飲んでいるんだろうって思った

―2人が「お茶」に興味を持ったきっかけは?

アーウェン:私の故郷はお茶の産地として有名な阿里山(アーリーサン)。そして父は選茶というお茶に関わる仕事をしていました。だから小さなときから、お茶に興味を持つとかではなくて、すでにお茶が生活の中に溶け込んでいました。毎日当たり前のようにおいしいお茶を家族で楽しんでいました。

― ディヴィッドは台北生まれですよね?

ディヴィッド:そう。台北人って実はお茶を飲むという習慣がないんです。コンビニや街角のドリンクスタンドで買って、ただ喉が渇いたし飲むか! くらいの意識しかなかった。

アーウェン:そう!親元を離れて台北に来た時に、みんなこんな不味いものを毎日飲んでいるのかって、カルチャーショックを受けたんです(笑)。

ディヴィッド:ははは。アーウェンに出会って「あなたが今飲んでいるお茶はひどい味だ!」ってはっきり言われるまで、自分でもお茶の味や香りに注意を向けたことはなかったんです。本当に知らなかった。

奶萱紅茶という銘柄のお茶をいただくことに

 

ややこしいことを一切取っ払って、ただ「美味しいお茶」をまずは届けよう

― 台湾の中でも「知っている」と「知らない」の間には大きな溝がありそうですね

アーウェン:『琅茶 Wolf Tea』を始める前、特に台北のような都市部では、お茶を淹れて飲むことは老人の趣味だと思われていました。

ディヴィッド:で、若者はコンビニかドリンクスタンドでタピオカミルクティーを飲むっていう。茶文化というひとつ枠の中で、2つに分断されていましたね。

― 台湾人はみんなお茶好きっていうイメージが強かったから、ちょっと意外です。

アーウェン:もちろんタピオカミルクティーもコンビニの砂糖入りのお茶もいい。でも若者が自分の手で淹れた茶を飲んだことがないという状況を、なんとか変えたいと思って始めたのが『琅茶 Wolf Tea』なんです。私たちが同じ目線で、同じ世代に伝えることに意味があると思って。

― 伝えるというと?

ディヴィッド:伝統的な茶席って厳かでいろいろなお作法があって…。今まで慣れ親しんでいなかった僕たちからすると、なんというか窮屈。だから、お茶を飲む上でややこしいことを一切取っ払って、ただ「美味しいお茶」をまずは届けようと決めたんです。

アーウェン:五感で感じたものはパワーがある。毎日の生活の中に「お茶」を定着させるために「おいしい」にとことんコミットしたいと思いました。

茶碗とレンゲがあれば簡単に茶を淹れることができるそう

― それが「シングルオリジナル」に繋がったんですね。

アーウェン:そう、同じ茶畑でも収穫日が1日違うだけで味と香りが違うんです。茶葉ってそれくらい繊細なもの。だからこそ混じりけのないピュアな茶葉を、まずは若い人に味わってもらおうと思いました。

ディヴィッド:『琅茶 Wolf Tea』の一番の特徴が、同じ産地で同じ時期に採れた茶葉のみをパッケージにして販売するということ。一般的に販売されているお茶は、品種が同じであれば産地も収穫時期もバラバラの茶葉を混ぜ、パッケージ化されているんです。僕たちは、若者の生活の中になかったものを販売していく。そのために圧倒的な感動を生み出す風味が必要だったんです。

アーウェン:あ、そろそろこのタイミングでお茶を飲んでください。冷めるから。

― あ、はい。ありがとうございます。

本当に、透き通るような風味。お茶の味が美しいと初めて感じました

― 私はお茶に関して、全然知識がなくて…。素朴な疑問なんですけど、味の差は何で決まるんでしょう?

アーウェン:産地、育て方、天気、収穫方法、製茶…、そして淹れ方。全部!

― この全過程をコントロールしながら、品質を上げていくのって大変そうですね。

ディヴィッド:そう、茶葉仕入れるところから販売を始めるまで、実はとても時間がかかっているんです。僕たちは農園の方がびっくりするくらいのレベルの高いお茶を要求するから。

アーウェン:うん、この時期ここで採れた一番いい茶葉が欲しいとストレートに言います。

― それですぐに売ってもらえるものなんですか?

アーウェン:ある農園では「何言ってだ、君ら」みたいな反応でしたよ。でもこの農園のこの時期の茶葉が売りたいと思ったら、何度でも通います。そしてひたすら自分たちの思いを、掲げている使命を伝えるんです。

― 茶葉を手に入れるまでに、足を使っているんですね。

ディヴィッド:1種類の茶葉を新発売するまで、長いときで1年かかります。

商品の種類は確かに多くない。だからこそひとつひとつにストーリーがある

 

自分たちのアクションがもたらす影響をまず考えてみる

― 茶葉の販売開始までに1年も! その間2人でケンカになったりしないですか?

2人:もちろん、するする!

― わっ。力入ってますね。どんな場面で意見が食い違うんでしょうか?

アーウェン:私は商品開発段階で、色んなアイディアを、それこそ山のようにいっぱい出していくんです。これどうかな、これもいいね、あれもやりたい! と本当にとめどなく。

ディヴィッド:そして僕がわーっと山積みになった彼女のアイディアをひとつひとつ整理していく感じ。各アイディアの良いところ悪いところをフィードバックしていきます。

アーウェン:この過程でよくケンカになっちゃう。だけど、結局いつも彼の意見を最後には取り入れます。ディヴィッドはブランド全体を俯瞰的に見てて、どうすればお客さんが幸せになるかを客観的に判断できるから。

ひとつの色にひとつの風味が『琅茶 Wolf Tea』のスタイル

― どんな判断基準を持っているんですか?

ディヴィッド:最初に考えるのが、自分たちのアクションは短期的・長期的に『琅茶 Wolf Tea』に対してどんな影響を与えるのかということ。僕たちは長期的な利益しか今は求めていないから。

― 長期的な利益とは?

ディヴィッド:実はドリンクスタンドを出さないかというお話を最近はよくいただくんです。でも、長期的な利益を考えて、全部断っています。

― なぜでしょう?

ディヴィッド:ドリンクスタンドってどんな時に利用しますか?

― うーん。喉が渇いたとき、でしょうか?

ディヴィッド:そう。喉が乾いている時って、何を飲むかということはあまり重要ではない。ただ飲み物があればそれで満足できると思うんですね。で、飲み終わったあとはすぐに忘れちゃう。でも『琅茶 Wolf Tea』では茶葉を買って、家に帰って茶を入れるというところまで、まるごと「お茶」を楽しんでほしい。だからドリンクスタンドで完成したお茶を「はい、どうぞ」って渡したくないんです。これを続けても、いつまでたってもお茶文化が習慣化しないから。

― 本当ですね。

アーウェン:もちろんお金のことだけを考えれば、ティースタンドが一番いいと思うんです。でも私たちは100年後も愛されるブランドを目指している。だから、長期的にお茶を文化として生活に取り入れてもらう、つまり茶葉の販売のみを選びました。

― 短期のトレンドで集まったお客さんは、去っていくのもきっと早いですもんね。

話しながら、私たち3人でお茶を楽しみます

 

お茶の持つ力をみんなに届けたいから、「伝える」を続ける

― ただおいしい茶葉を売る、シンプルなブランド『琅茶 Wolf Tea』。今後100年愛されるブランドになるために、やってみたいことはありますか?

ディヴィッド:今やっていることをひたむきに続ける、ことかな。あとは今回台感でも自分たちのお茶が採用されて本当に嬉しかった。だから台湾茶を少しずつ世界にも届けていきたいです。

アーウェン:家でお茶を淹れて飲むということが、息をするように当たり前の世の中になって欲しい。だからインターネット、対面販売どんなチャンネルであっても自分の思いを大事に伝えていきたい。お茶には生活をより良くしていく力があるから。

お茶への愛に満ち溢れた時間でした

『琅茶 Wolf Tea』

公式ホームページ
日本語オンラインショップ

 

インタビューを終えて

2人の話を聞いてから、コンビニでお茶を買わなくなりました。毎日一息つく時間、自分でお茶を淹れながら過ごすようになりました。

もちろん、大きな変化なんてありません。肌荒れが治った、肩こりが改善した、なんてこともなく。ただ、お茶の香りに包まれたひとときのおかげで

今日もいい一日だった

とほのかに感じられるようになりました。
味、香り、喉越し、温度、色。美しい味がする『琅茶 Wolf Tea』を是非一度、台感で味わって欲しいと願わずにはいられません。

Taiwan Tea & Gallery 台感

住所: 東京都台東区蔵前3-22-7
定休日: なし
営業時間: 11:00~21:00
アクセス: 都営大江戸線「蔵前」駅 A5出口すぐ、都営浅草線「蔵前」駅 A4出口徒歩4分

インタビュー・テキスト・写真:岸本洋子

 

岸本洋子ってこんな人

台湾品質の副編集長。兵庫生まれ、京都育ちのフリーエディター・ライター。出版社勤務、薬膳講師といった経験ののち、色んな縁と偶然が重なって台湾に住むことに。ビールとコーヒーをこよなく愛する健康オタク。オシャレなレストランより、赤ちょうちんの居酒屋が好き。山の中で生まれ育った反動で、休みがあるとすぐに海に飛んで行きます。
@yoko_taiwan