私と写真家テイ・コウケイ

2015年夏、私は台湾に移住した。

これまで、旅行先として何度も訪れたことはあったけれど、いざ住んでみると「台湾」という場所は、まさに不可思議。

ブンブンとレースのように街中を行き交う大量のバイク。ベタベタとまとわりつくような蒸し暑さ。人の大きな笑い声、まっピンクの服を着たおばさん集団、そして街角で何度も何度も自撮りをする女子高生。

こんなちょっと奇怪(チーグァイ)な光景を写真家テイコウケイは撮り続けている。

 

テイ・コウケイとの出会いは2017年の冬。

台湾のバンド『宇宙人』と日本のバンド『フレデリック』の対談インタビューの場だった。私は、まだ台湾生活1年半ほど。中国語も今ほど自信がないこの頃、突然依頼されたインタビューの仕事。私は、この時初めて台湾人と中国語を使ってインタビューをし(さらには現場で翻訳もして!)記事を書いた。

段取りを組んでくれたメディアHere nowのディレクターさんからは、カメラマンは日本語も堪能だから心配いらないよというメッセージをもらっていた。だけど、初めてほぼ台湾人スタッフOnly、さらには日本のバンドもいるとの状況を想像して不安が募り、テイさんに取材開始の1時間前に打ち合わせをしたいと伝えた。

ただ打ち合わせと行っても対談予定のカフェで、バンドのメンバーが座る席を決めただけ。屋外での撮影場所についてもテイさんの後をフラフラついて行き、10分ほど歩いたのち「うん、應該沒問題(きっと大丈夫)」と言われただけだった。

「ほんまかいな。」

と内心不安でドキドキしていると、宇宙人そしてフレデリックのメンバーたちがカフェに集合して、取材が始まる。テイさんの気配がすーっと消えた。でもシャッターを切る音のみが聞こえてくる。

後日、私の書いた文章とともに公開されたテイさんの写真は、どれも本当に素晴らしかった。それから、台湾のカルチャーやイベントを紹介する記事を書く時、私はしょっちゅうテイさんと一緒に仕事をすることになった。

 

私のカメラの腕は素人に産毛が生えたくらい。でもテイ・コウケイの写真はすごく好きだ。媒体によってハメにいってる感じとか、個人の作品のぶっ飛んだ感じとか。そして彼の写真が人の心を動かすパワーを持っていることぐらいは分かる。

https://www.herenow.city/taipei/article/9m88/

日本のカメラマンは作風が各自定まっていて、台湾のカメラマンのように毎回現場ごとにテイストをガラリと変えてくる人は少ない。だからこそ、一度カメレオンみたいなテイ・コウケイの作品をぜひ手にとって見てほしい。

そしてちょっと奇怪でつまらなくて、愛おしい台湾を感じて欲しい。

※台北無聊風景は台感にて数量限定で取扱いあり。

テキスト:東洋子 @yoko_taiwan
写真:鄭弘敬 公式ホームページ  Instagram